中古マンションが買いやすくなる⁉︎国交省「中古市場活性化」に向け算定モデル導入
一般的に住宅ローンを借りる際には購入する住宅と土地が担保の対象になります。ローンの返済が困難になった場合は金融機関が担保不動産を競売にかけて残債分を回収するためです。このため住宅の担保価値が低いとローン自体の承認がおりにくいわけです。とりわけ、中古の戸建て住宅は建築から20~25年程度で建物の担保価値がゼロとされる慣行が強く、なかなか融資自体がつき難い慣習があります。一方、都市部など好立地の物件は築年数が経過しても、高値で取引される事例が珍しくないため評価基準にマニュアル化した定めがなく時価評価のようになってしまいます。近年は住宅所有者の生活様式や嗜好に応じて、断熱性能を改善する省エネ改修やリノベーション(大規模改修)の需要も増えてきています。築年数だけの判断ではこうした住宅の価値を反映できず、ローン承認を滞らせる危険性もあります。現在のこの様な状況は中古住宅市場を停滞させる大きな要因になっています。国土交通省は市場の取引価格をもとにした住宅評価モデルを作ることによりこうした停滞感を解消し中古市場の活性化を図ろうとしています。全国の取引データを分析することで、対象の土地、建物構造、床面積、立地場所などを入力すれば価格を推定できるような手法を想定しているようで、省エネ改修などで住宅の品質が向上した場合にその価値が適切に上乗せされる仕組みも考えるそうです。
日本以外の国での流通市場は、圧倒的に中古が主流となっています。以前より、米国では米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の評価モデルを活用して、金融機関が中古住宅の担保価値を算定しています。全米50州を対象に約1億件の不動産記録を分析し、秒単位で価格をはじき出し住宅ローン手続きの簡素化に役立てています。まさに、米国のシステムが今回はお手本というわけですね。
住宅金融支援機構の調査によると、日本の金融機関の7割超は戸建ての担保価値を評価する場合、築年数で判断しているのが実情で、物件ごとの品質を考慮しないため、中古住宅はおおむね低い評価となってしまいます。特に自前の評価モデルを持たない地域金融機関は住宅ローンを提供したくても担保価値が低くリスクマネージメントとして融資出来ても希望額よりも低かったり、不承認になるケースが多いです。マンションでは約6割で取引価格などを参考に評価しているのが一般的です。その点、新築(特にマンション)で大手デベロッパー分譲のものであれば金融機関側も安心して担保評価出来ます。そうした評価システムが中古市場の停滞につながっていました。
日本は新築住宅の人気が高く、住宅市場に占める中古住宅の割合は15%にとどまります。米国の80%や英国の89%に比べると後れをとっており、市場拡大の余地は大きいです。高齢化の進展で増加する空き家問題の解決にも、中古住宅市場の活性化は役立ち、サステナブルな観点からも中古市場拡大は我々不動産業界にとっても大命題です。現在、岸田内閣も子育て支援の拡充など、子育て世代へのアプローチを強化していますので、住宅提供としても良質な中古住宅を売買しやすい環境を整えることが急務です。
今回の政府の発表、実はかなり大きな動きで現実的に運用開始されれば間違いなく中古市場は活性化し市場競争が良い方向に働くので当社としても期待大です!
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