
注目の定借マンション今後の需要は?
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本日は、新築マンション業界で注目の「定期借地権付きマンション」の話題についてご紹介したいと思います。過去当SANSHIN picks内でも取り上げてきた定借マンションですが今年に入り供給は過去最多を記録しそうです。

期限付きで借りた土地に建てる「定期借地権付き」マンションの供給が急増しています。2026年は過去最多となる見通しです。新築マンションの供給が細る中での定借急増の背景には、売却時の税負担を敬遠する地主の事情や住宅購入者の持ち家志向の希薄化があるようです。
定借マンションは期限が来たら更地にして、地主に返す契約がほとんどです。購入者は通常の管理費や修繕積立金に加えて地代と解体積立金を毎月負担する必要がある一方、土地を取得しない分、初期費用は割安となる特徴があります。固定資産税も建物分だけで済むというメリットもあり今改めて購入面においても注目されつつあります。
不動産調査会社の東京カンテイによると、2026年に竣工が予定されている定借マンションは全国に4808戸あるそうで、前年比で約6倍、これまで最も多かった2003年と比べても約2倍と急激な伸びとなっています。このデータは竣工ベースのため、実際に売り出すタイミングとは異なるものの、今後も高水準の供給が続くのは確実です。この現象の背景には、供給側、需要側それぞれの構造変化があります。
東京都文京区で建設中のマンション「リビオシティ文京小石川」は、最寄り駅から徒歩約10分の立地で、販売戸数は522戸と文京区で最大規模の物件となります。70年の定期借地権が付き、70㎡台前半で1.2億〜1.5億円と、周辺の分譲マンションと比べ1割ほど安い算段になります。モデルルームへの来場者はファミリー層中心に月に100組前後にのぼるそうで、人気の理由は割安なことに加え、JR山手線内側の大規模物件という希少性にあるようです。土地の所有者は共同印刷で、128年前からこの地に本社を構える老舗の印刷会社がなぜ、マンション用地を貸し出したのか?この場所には9棟のビル群が並んでいましたが、本館は築80年と老朽化しており、建て替えるか移転するか社内で議論していたそうです。利便性の高い場所に移転すると賃料負担が重く、この地で建て替える費用もないところが思案材料となり、土地を売却しようにも簿価が安く、売却益に多額の税負担が生じることが売却に対し消極的な理由になったようです。そこで浮上したのが定期借地というわけです。地代を前払いで受け取ることで、借り入れなしで同じ敷地内に本社ビルを建て替えることができ、最善のスキームと言えます。今後も都内の一等地など古くからそこに根を張る地主企業の新たな選択肢として税負担の面からも定借を選ぶ企業は増えそうです。
その他、タワーマンションでは横浜市中区に建設中の「ブランズタワー横浜北仲」も注目されています。こちらは2025年から販売開始となりましたが平均倍率は約10倍m、最高倍率20倍を超える住戸も出てきており加熱ぶりが伺えます。商業・オフィスを含む複合開発事業の一部として2028年3月中旬竣工予定、地上40階建て・総戸数704戸からなる超高層大規模タワーマンションで、立地は、みなとみらい線「馬車道」駅から徒歩2分、JR根岸線「桜木町」駅も徒歩9分と、歴史的な建造物が多く現存する「馬車道地区」と、近年複数の街区が完成し開発が大詰めを迎える「みなとみらい21地区」をつなぐ、横浜の街と海を見渡せる絶好のロケーションとなっています。こちらも敷地の権利が「定期借地権」であり、東急不動産株式会社と京浜急行電鉄株式会社が地権者となり、定期借地期間は75年と定められています。
また、大学や自治体も定借事業に関心を寄せているようです。阪急阪神不動産は2025年、お茶の水女子大が所有する東京都板橋区の土地に285戸の定借マンションを建設予定で、一橋大の土地でも定借事業に向けた協議を始めたとニュースになっています。今まさに定期借地マンションが増えてきた背景には、通常の所有権マンションではなかなか手に入らない、駅前の一等地や居住環境の良い土地での住宅供給可能と判断した各社デベロッパーの販売供給に対する舵取りが見て取れます。
過去を遡ると日本で定期借地権分譲が開始されたのは1992年のことで、地価高騰で住宅供給が滞るなか、政府は借地借家法を改正して期限付きの住宅供給を認め注目を集めました。当初は戸建ての供給が需要として多かったですが、分譲マンションでは1995年ごろから小規模物件中心に広がっていきました。
これまで幾度か一時的に供給が増えたことはありましたが、このところの伸びは顕著です。不動産価格の上昇傾向が鮮明になるのに伴い定期借地も増えてきたように思えます。職住近接が必要な子育て世帯など、土地を所有しなくても利用価値が高ければいいと考える人が増えてきたところにも潜在的な需要はあり、タイムパフォーマンス(タイパ)重視の需要を取り込むには最適解なのかもしれません。
国土交通省の「土地問題に関する国民の意識調査」では「土地・建物の両方とも所有したい」と考える人の割合は2023年度が65%と、5年間で10ポイント低下したそうです。今後の住み替え意向のデータからも、持ち家志向が薄れている様子が見て取れます。住まいに対する価値観の変化も、こうした統計データを見ると定期借地の普及を後押ししているのかもしれません。
とはいえ、定期借地マンションは借地権の期限が近づくと売却価格が大きく下がるリスクがあります。ただ、当初50年程度だった借地期間が近年では70年程度まで延びており、値下がりする時期も遅くなる傾向があります。住宅価格の高止まりが続くなかで、実需層の定期借地への抵抗感は薄れているのかもしれません。新築は都心部だと土地確保の難しさから駅前であればタワーマンションか定期借地かという選択になっていくかもしれません。今後、「定借マンション」は都心部での居住を求める人にとっては数少ない選択肢となってきています。
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