米国債務上限問題の日本への影響とは!?
現在、米政府の債務は拡大の一途をたどっています。新型コロナウイルス禍に対処するための財政拡大で、債務は急速に膨張している為です。今年の1月にはすでに上限に達しましたが、財務省が政府の基金の運用を変更するなど臨時の資金繰り策で債務不履行を回避しているのが現状です。上限の引き上げにはその都度、連邦議会の承認が必要となり、引き上げに失敗した場合、政府職員の給与支払いや様々な行政サービスができなくなり「政府閉鎖」に至るだけでなく、国債の元利払いができないデフォルトに陥ってしまいます。その場合、世界経済や金融市場への負の影響は甚大なので、世界的に影響力のあるアメリカの動きに6月まで目が離せない状況です。ここまで、膠着している理由としては、前トランプ大統領を支持する派閥が増えている為、議会で二大政党の分極化が進んでいるせいがあります。一方バイデン政権も2024年の大統領選を見据え、強固な姿勢をとっています。
過去直近でいうと2011年、2013年、2015年に3回のデフォルト危機がありました。2011年はデフォルト直前で債務上限法案が成立し回避、2013年と2015年は債務上限の運用停止という対応などで乗り切ってきた経緯があります。なので、今回も直前で何かしらの抜け穴を成立させ回避出来るのでは?との見方が市場では囁かれてはいます。
とはいえ、そもそも債務膨張の質も少々違います。それがわかるのが、今年の3月に発生した地銀破綻によって注目され出した預金流出問題です。米連邦準備理事会(FRB)による大幅な利上げによって保有する米国債などの投資債券に大規模な含み損を抱えている状況は、破綻した地銀3行と健全なその他の地銀とに大きな差はありません。デフォルトをきっかけに米国の預金者が不安感を増幅させると、電子取引で瞬間的に預金を引き出す「デジタルバンクラン」が発生して、新たな銀行破綻を生み出す可能性を高めます。米連邦預金保険公社(FDIC)は25万ドル(約3,300万円)まで米国における預金を保護していますが、危機の波及を回避するために特例で全額保護を打ち出そうとしたときに、連邦債務の上限問題がネックになって実行できないという展開も予想され今回の問題に直面してしまうのです。。
さらに怖いのが、商業用不動産を投資対象にした不動産投資ファンドに逆回転の解約圧力がかかることです。米国の商業用不動産は、現在新型コロナウイルスの感染拡大を経て自宅勤務が増えた影響を受け、低品質な物件の価値が急落してしまっています。米国のオフィス空室率も増加傾向にあり、そこに米国のデフォルトというニュースが飛び込めば、投資している個人投資家の解約を誘発するリスクが更に高まります。解約を直ちに認めるオープンエンド型の不動産投資ファンドはかなりの部分を占めているとみられ、解約に応じられない場合は結果、破綻となってしまいます。不動産投資ファンドへのエクスポージャーは地銀に限定されず、大手金融機関も含まれるため、リーマンショック時に注目されたサブプライムローンの混乱に似た資金ショートが発生するリスクがあります。
日本への影響はどうかというと・・・
その場合、世界の金融市場はリスクオフ一色となりその影響は当然、日本市場にも波及します。今年4月は海外勢による日本株買いが4兆9,760億円にまでいきましたが、世界的なリスクオフが発生すると、海外勢は投資マネーを本国に還流させるため、買った日本株や日本不動産の相当部分を処分するはずです。不動産において言えば、大量に売りに出されれば当然市場価格が下がる要因につながってしまいます。株式では、足元で28,000円台〜29,000円台の日経平均は、いったんは大幅な下落局面を迎えることは避けられそうにありません。もちろん、為替においてもドルが弱体化し、その反動で円も130円を割り込んで円高に進むことになります。しかしながら、短期間で2大政党の折衷案が纏まればそこまで大きく金融不安とまではならないと思います。今回の引きづり方次第では世界へ与える影響の大きさが変わってきますので、アメリカの一挙手一投足が気になるところです。
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