狭小化するマンショントレンド
実は、この話題は以前よりこのブログでも取り上げた事があり、「実質値上げ」という現実を需要低下に直結させない為に、各社工夫しながら商品化して建設している背景がありました。
ところが、加速する昨今の建築費高騰(この記事を掲載したのが2021年10月頃)により、更なる狭小化が進んでいます。昔と比較し、購入層の変化もこの傾向を助長しています。
1980年頃には全体の2割程度だった単独世帯が2020年には4割弱まで増加しています。一方、それまで多くのシェアを占めていた夫婦と子の家族世帯は4割から2割〜3割程度に減少しています。そうした統計からも、各社デベロッパーとしても、より一層小型マンション(20㎡〜30㎡台、40㎡〜50㎡台)に注力してしまいます。全体的な居住に対してのとレンドも、コロナ禍が落ち着きだしてからは広さやゆとりの住環境よりも利便性重視の都心回帰が目立ちます。
①新築マンションの市況とは?
現在、そうした流れもあり新築マンションは更なる高騰の一途を辿っております。新築マンションの価格は首都圏平均が2021年、2022年と2年連続でバブル期を上回る過去最高を記録しています。前述でお話しした様に、各社販売価格の見た目は買えない様、グロス価格がそのまま維持する代わりに販売対象面積を狭くしています。その他、少しでも価格を抑えつつ販売専有面積も確保する為に、共用部とされる「エントランス」や外壁、「共用施設」などに使用する資材や品質を落としコスト調整を図る取り組みも増えてきています。住宅支援機構のの住宅ローン「フラット35」の利用者調査面積は新築マンションが64.7㎡で10年前に比べ10%も狭くなっています。しかし、需要が絶えない理由には広さよりも立地や環境を重視した最近の傾向が大きく反映されているように思えます。同じ予算で逆算すると、良い立地や環境に居住する→広さを狭くせざるを得ない→狭い専有面積(間取り)でも生活出来る家族構成→夫婦2人に子供1人といった感じで残念ながら少子化を促進してしまう悪循環を生んでしまう状況ではあります。
②では、中古マンションはどうかというと?
前述の利用者調査面積では、中古マンションも68.2㎡と10年前の調査に比べ5%ほど狭くなっています。とはいえ、やはり価格との差からも多少新築に比べ広い面積が確保は出来ます。しかし、中古マンションも70㎡台や80㎡台といったファミリー層に人気の3LDKはなかなか市場に出回っていないのが現状です。厳密に言うと、築浅でかつ立地の良い中古マンションは中々出てきません。出てきても、新築分譲時よりも110%〜150%ほどの高値で取引されています。先日もお客様から住み替えのご相談を受けましたが、現在の広さを維持した住まい探しとなると予算を大幅に超えてしまう状況となり売却は断念し、現居に留まる選択を余儀なくされていました。こうした傾向が、残念ながら優良中古マンションの枯渇化へと繋がっていってしまいます。
③持ち家文化の日本
④分譲賃貸にも注目が集まる!
こうした流れの中で、購入自体を先送りしたり断念した場合賃貸の動向も当然気になってきます。東京カンテイが先日発表した先月の分譲マンション賃料は、東京23区が1㎡当たり4,087円でした(※分譲マンション賃料は、マンションの住戸の持ち主が貸す際に設定する賃料で、専有面積30㎡未満の住戸や事務所・店舗用を除いたファミリータイプのみを調査対象とした結果となっています)。これは、目安として1LDK(45㎡)で約184,000円、2LDK(55㎡)で約225,000円、3LDK(70㎡)で286,000円という計算になります。前月比で0.8%高く、比較可能な2004年以降の最高値を4カ月連続で更新している状況です。上昇は7カ月連続で更に上昇傾向は続く見込みです。1月〜4月の引っ越しシーズンで都心部への流入が増えたことから、高めの賃料を設定する貸し手が多いいようです。もともと、賃貸目的で供給されたマンションはその需要の高さから「1R」や「1K」といったコンパクトタイプが主流となっており広くても30㎡〜40㎡の1LDK止まりです。なので、1LDK以上の間取りを借りたいとなるとどうしてもこうした分譲タイプ(購入した区分所有者から借りる)のマンションが市場に多く流通しています。
都市圏別では、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)が同0.5%高い3,494円でした。このうち、23区外も含めた東京都全体は同0.7%高の3,974円、神奈川県はの2,535円、埼玉県はほぼ横ばいの2,025円、千葉県は1,935円という結果でした。近畿圏は同0.3%高の2,218円、中部圏は同2.6%安の1,954円でした。中部圏では平均築年数が2年近く進んだため、下落が大きくなった。4月は引っ越しシーズンで、転勤や入学に伴う住み替え需要が高まり、更に新型コロナウイルス禍からの経済再開で東京への人口流入が続いていることもあったので、東京23区では強気の賃料設定でも需要が追いついている結果となりました。引っ越しシーズンでの上昇圧力は一時的なものとしても、購入を検討していた層が一旦、購入時期を見送る際に都心のピン立地(良い立地)と言われるマンション狙いでの需要競争の勢いはまだまだ衰えなさそうです。
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