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本日は、マンション管理において問題視されている管理組合修繕採決制度改正の話題についてご紹介したいと思います。
以前よりこの話題については、取り上げてきましたが今回は、マンションの区分所有者が海外在住の場合についての解決策です。
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政府は海外に住む分譲マンションの所有者向けに代理人による管理制度を創設する検討に本格的に入りました。所有者本人が不在でも、代理人の判断で工事などで立ち入れるようにし老朽化したマンションの増加に合わせ修繕工事の手続きを簡素にしたいところが狙いです。
法相の諮問機関である法制審議会で議論し、2024年をメドに区分所有法の改正をめざすようです。ここ数年で増加傾向にある海外の投資家による物件所有や海外転勤により所有者が不在だったりすることで、容易に連絡が取れずそういった場合でも手続きや採決を出来る様にすべきという声は以前から上がっていました。
いまも所有者が個別に委任契約を結んで代理人を置くことはできますが、代理で担える行為が法律上明確でなく、実際は海外の所有者に都度確認を取る場合が多いです。連絡が滞り、現状の制度のままだとマンション管理が結果的に行き届かなくなってしまいます。
念頭におくのが配管や配電網が老朽化し、共用部分のみの修繕では効果が出にくいケースです。個人が所有するそれぞれの部屋にも工事を広げる必要があります。政府は法改正により代理人の判断で専有部分への立ち入りや工事をできるようにすることも検討内容にいれる考えです。
では、委任内容としてどの範囲で任せることができるかというと
1.まず区分所有者は、国内管理人(国内に住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所を有する)を選任することができる。
2.そして、その国内管理人は、以下の権限が与えられる。
・ 保存行為
・ 専有部分の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
・ 集会の招集の通知の受領
・ 議決権の行使
・ 共用部分の管理費用の支払
3.区分所有者と国内管理人との関係は、委任の関係である。
海外の所有者にとっては代理人を選任することでマンション管理の手間が減るメリットもあります。なので、国内の代理人が代わりに管理費を支払えるようにする条項を加える案も議論する予定だそうです。
所有者の所在が不明で管理に支障が出た際の対応も裁判所が代理人を選任し、弁護士や司法書士、マンション管理士といった専門家が代わりに専有部分を管理できるようにします。日常的に起こるであろう水漏れやごみの放置などで他の居住者の暮らしに悪影響が及ぶ事例を想定しています。
不動産サービス大手CBREによると、2021年の日本での不動産投資のうち3割は海外投資家でした。今後は企業の海外進出などにより一時的に国外に住む日本人も増える見込みです。2022年の不動産取得額の見通しについて「昨年より増加する」と答えた海外投資家の割合は74%となっています。
国土交通省の調査によると、2021年末時点で全国に249万戸ある築30年以上の分譲マンションは20年後に2.4倍の588万戸になる見通だそうです。買って終わりではないマンション、管理とセットで購入する意識がなければ共同住宅は運営面で破綻してしまいます。最終的には、老朽化に伴う倒壊事故を誘発してしまう恐れもあります。
今回の記事のように、確かに国内に代理人を立てるということについては、「代理人の権限を明確にする」という点で議論されているような記事でしたが、同時に、「代理人を選任しなければならない」という要件としなければこの問題は解決しないと思います。また、修繕をしなくてはいけないマンションは築年数の古いマンションなので、築年数が古くなるにつれて所有者も相続手続きが滞ったり、うまく継承出来ていないケースもあり、そこで連絡先が不明確になることも多いです。中古での購入時はもちろん、古くから所有している所有者も相続が困難な場合に事前に代理人を設ける制度も促進していかなくては根本的にはこの問題が完全に改善されることは難しそうです。
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