続・建築資材高騰の今後
業界最大手の太平洋セメントは2022年10月出荷分から1トン3000円引き上げると表明したため、他社も値上げに連動したかたちになります。主因はセメント工場で使う熱源の7割を占める石炭の大幅な値上がりで、指標となるオーストラリア産のスポット(随時契約)価格は2022年9月に1トン400ドル超に急伸しました。ウクライナ危機を契機に、ロシア産石炭の調達回避や天然ガス高に伴う代替確保の動きなどが重なったことが勢い付けてしまっています。セメント需要の約7割は生コン向けです。セメント以外にも、製造に必要な「骨材」と呼ばれる砂や砂利、電気代なども上昇し、2022年の同時期に比べ1㎥あたりの生産コストは1200円上がっています。過去にないコスト高となっています。
このため、生コンメーカーは転嫁値上げを進めています。東京地区生コンクリート協同組合は、4月から1㎥あたり2000円値上げすると打ち出しました。加盟するメーカーは、買い手であるゼネコンなどへの販売価格を上げ、7月までに満額浸透しました。1㎥2万800円程度と、6月に比べて1割値上がりしました。
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ゼネコン大手は、生コン会社の製造原価が上昇している状況で、サプライチェーンを維持するためには値上げの受け入れは必要だと判断しており、ほかの資材価格も上がる情勢で、異例のスピードで浸透しています。
公共事業やオフィスビル建設など需要は振るわないなか、セメント協会がまとめた5月のセメントの国内販売量は、前年同月比1.8%減でした。ここ最近の状況としては、前年同月を9カ月連続で下回っています。
資材以外にも人件費や物流費などが上昇しているのも無視できない状況で、建設費が発注者の想定する予算を上回る案件が目立っています。大手ゼネコンの田中には価格協議の長期化などで、計画の見直しを迫られる案件も出てきているそうです。欧州の天然ガス不足への懸念が後退し、足元のオーストラリア産石炭は下落しています。しかしながら、ウクライナ情勢や中国景気の先行きは不透明で、今後の市況は見通しにくいと太平洋セメント側もコメントをだしておりまだまだ価格転換は続きそうな気配です。
セメント各社はさらなる値上げについて、今のところ言及していませんがセメント各社は高値で調達した石炭の在庫を抱えているのでコスト高の状況は当面解消しない見込みで、各社の経営を圧迫しているのは間違いありません。
オフィスだけではなく、都心を含めた主要駅周辺の開発事業では今後もタワーマンションの建設も多く控えています。こうした資材高騰の煽りを受け、建設計画当初考えていた販売価格では収支が合わない案件も実際出てきそうです。そうなると、自ずと新築マンションの販売価格は今後も高騰していくことは容易に想像出来ます。それと同時に、市場では中古マンションへの流通活性化も期待されますので今後の新築と既存の中古マンションの価格動向にはさらに注目が集まりそうです。
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