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人件費問題が建築費高騰に拍車

建築

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、以前より当ブログでも取り上げてきた「建築費高騰」の最新の話題についてご紹介したいと思います。

我々不動産業界にとってもこの話題は、販売価格はじめ賃料への価格転換につながる話なだけに耳の痛い話題ではあります。今までは、比較的原材料となる資材需給に対しての話題が多かったですが今回は現場で大きな課題になる「人件費」問題です。建設物価調査会が先日発表した東京地区の11月の建築費指数(工事原価)は、マンションやオフィスビルなど主要4分野すべてで軒並み上昇し最高を更新しました。生コンクリートなど資材価格の上昇は一服感が出ているものの、人手不足を背景に工事現場での労働コストの増加に歯止めがかからない状況です。同調査会は建屋の組み立てや、電気や空調など設備の導入、現場作業員の人件費などすべての工事費用を指数化した建築費指数(工事原価)を毎月算出し、公表しており単に原材料だけでない高騰理由が露呈されてきています。

※過去の関連記事はコチラからご参照下さい↓


11月の東京地区の建築費指数(速報値、2015年=100)は、マンション(鉄筋コンクリート造)が前月比0.2%高い126.3と4カ月連続で最高を更新しました。中でも、オフィスビル(鉄骨造)は0.5%高い128.5、工場(同)は0.6%高い128.2、住宅(木造)は0.2%高い133.2と、それぞれ最高値でした。マンション、オフィスビル、工場はいずれも前年同月比5%前後上昇しており、住宅(木造)は2.6%高でした。指数の大きな上昇要因としては、工事現場の作業員などの人件費の増加が指数を押し上げるようです。

建設資材は、電線・ケーブル関連でメーカーの値上げが浸透したものの、生コンなど主要品種は価格の上昇が現状では落ち着いてきています。一方で、人件費の上昇を起点とした工事コストの増加局面に本格的に入ってきたとの指摘が目立ってきています。建設関連の技術者の高齢化が進むなか、労働負荷が重く若者の担い手が少ないという話題は以前も当ブログで取り上げさせてもらいました。工事現場の進捗状況を管理する施工管理技士の派遣業務を手がける企業も、人材が足りない状況が続いている一方で建設会社などから引き合いは多いいので、派遣料金は上昇してしまっているようです。

パーソルキャリアの転職サービス「doda(デューダ)」の登録情報から集計した2023年版(2022年9月~2023年8月)の職種別の平均年収では、「大工・鳶職など」が353万円と前年から9万円(約3%)増額しています。これはあくまで平均値なので、局地的には以前にも増してかなりの上昇幅があるのだと思います。

人材獲得競争も熾烈のようで、リクルート系の調査では、7~9月に転職した建設エンジニアで前の職場より給与が10%以上伸びた人の割合は34%で、前年同期比で5.2ポイント上昇したとのことです。建物の基礎を作るための型枠工事を大手ゼネコンから請け負う工務店も、工事全体をこなすほどの人員がおらず、工事の一部のみを受けるケースも増えているようで自体は深刻化してきています。そうした影響もあり、大手ゼネコンで型枠工事にかかるコストは前年同月に比べ約2割上昇しています。

更に、建設業界にとって2024年4月から時間外労働に上限規制が適用される「2024年問題」が待ち受けています。中でも施工管理技士は複数の現場を担当している場合も多いので、残業規制の導入で、担当する現場の数を減らさざるを得ない状況も予想されます。こうした状況は、確実に今後建設現場に混乱を招くことになり後期の延長や無理な施工も出てくるのでは無いかと懸念されます。ゼネコン側は人繰りを考慮しながらの受注にとどめるとともに、既に請け負った工事で費用の増額を施主と協議する場面も増えると思います。新築物件で、マンション価格やオフィス賃料の一段の上昇につながる可能性もあるため、更に消費が冷え込む可能性は十分考えられます。来年、金利上昇も予測される状況から消費者とどう向き合っていくか「建築・不動産業界」にとって大きな岐路となりそうです。

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