【税制改正まとめ】子育て世帯へ税優遇拡充
気になる損得勘定で言うと、政府の試算によるとすべての世帯で児童手当の支給額が扶養控除縮小による増税分を上回り、家計にプラスと発表しています。例えば夫婦のどちらかが働き、16〜18歳の子が1人いる世帯で給与年収が240万円以下なら、手取り額は12万円増え、年収の増加に伴って税額も増える仕組みのため手取り額は減るものの、給与年収4410万円超の世帯でも差し引きで4万円弱のプラスになる計算だそうです。
ひとり親は子育ての負担が重くなりやすいためひとり親を対象にした「ひとり親控除」も拡充予定で、対象となる所得の条件を現在の500万円以下から1000万円以下に緩和し、控除額は所得税で35万円から38万円に、住民税は30万円から33万円に拡大します。扶養控除とひとり親控除の見直しはいずれも、これから来年末にかけて本格的に議論する2025年度税制改正で最終的に決める方針なので少々まだ先になる見通しです。
先日のブログでもご紹介しましたが子育て世帯への税優遇はほかの分野でも目立ち、まず住宅ローン控除では、引き下げる予定だった借入限度額を24年も一定の条件で維持します。優遇の対象になるのは「夫婦どちらかが40歳未満」「19歳未満の子がいる」のいずれかの世で、子はいないが比較的若かったり、中年世代でも高校生までの子がいたりする夫婦が対象になり、該当する世帯は幅広い印象を受けました。
住宅ローン控除は返済期間10年以上の借り入れをして住宅を取得する場合に、年末のローン残高の0.7%を原則13年間にわたって税額から差し引く制度で、現行の住宅ローン控除では対象となるローンの借入限度額は省エネルギーや脱炭素など住宅の環境性能が高いほど多くなっています。
例えば省エネ性能に優れた長期優良住宅なら2023年入居の場合で5000万円で、税額から差し引ける金額は13年間で最大455万円に達します。現行制度では2024〜2025年入居から借入限度額が4500万円、最大控除額は409万5000円に縮小する予定でしたが、子育て世帯や若年夫婦は2024年に入居する場合に2023年と同額になり、ほかの世帯は予定通りに引き下げるのに対し、子育て世帯にとっては恩恵といえます。
中低所得の子育て世帯などの住宅取得も引き続き支援される見込みで、住宅ローン控除の対象は原則床面積50㎡以上、課税所得が1000万円以下なら40㎡以上50㎡未満の一定の新築住宅でも適用しており、2024年も継続します。その他、住宅リフォーム控除では制度の期限を2025年末まで2年間延長し、新たに子育て世帯向けのリフォームを控除対象に加えました。例えば子の転落防止のための手すりの取り付けや子を見守りながら家事ができる対面キッチンの整備、収納スペースの拡張といった改修工事が含まれます。内容としては、工事にかかった費用の10%を所得税から差し引く仕組みで、工事費は50万円超、控除額の上限は25万円、対象者の課税所得は2000万円以下といった条件があります。適用の注意点としては、2024年4月から12月末までに入居する必要があるところです。住宅リフォーム控除は現在、主に高齢者向けのリフォームを念頭に置き、バリアフリーや省エネ対策といった工事の費用相当額の10%を所得税額からすでに控除しています。子育て世帯では子が成長したり、第2子、第3子が生まれたりすると、当初の間取りでは不便を感じるケースがあるため、優遇策はこうしたニーズに対応する狙いがあります。
さらに、子育て世帯にとっては家計の大黒柱の万一の場合に備える生命保険で控除が拡充することも知っておきたいポイントです。23歳未満の扶養する子がいる場合は、2012年以降に契約した一般生命保険の保険料の最大控除額を所得税で現在の4万円から6万円に拡大します。生命保険料の控除では一般生命保険のほかに介護医療保険、個人年金保険もあり、それぞれ課税所得から差し引くことができます。所得税では最大各4万円、住民税では同2万8000円、一般生命保険料の控除額は引き上げるものの、生命保険全体で控除できる額は所得税で現在の最大12万円、住民税で7万円が維持されます。
とはいえ、生命保険料の控除枠拡大をいつから適用するかは現時点で決まっておらず、扶養控除、ひとり親控除の見直しと同様に、2025年度税制改正で最終決定する見通しだそうです。
すでに各メディアのニュースで話題になっていますが、住宅関連以外では2024年6月に定額減税を実施する予定です。金額は所得税と住民税で1人当たりそれぞれ3万円と1万円。配偶者や扶養親族も対象になり、夫婦と子1人の3人世帯なら計12万円になります。子が多いほど減税額は増えるため、子育て世帯は定額減税でも恩恵が大きいといえます。
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