マイナス金利解除後の「住宅ローン」予想
皆様、弊社ブログをいつもご覧頂き誠に有難う御座います!
本日は、連日メディアでも報道されている「マイナス金利解除」後に我々の生活上影響が予測される「住宅ローン」について海外の利上げ政策や過去の日銀政策の歴史に基づき考察したいと思います。
当ブログ内でも、今まで数多く扱ってきた「日銀の金融緩和政策」ですが、今年に入ってからの話題ですと「マイナス金利政策の解除」への道のりです。内田真一日銀副総裁が先日講演し、準備段階としては確実に推し進めている印象を受けました。解除後の政策の姿についてより踏み込んで説明したのが印象的で、我々の日常生活においては物価や為替と並び「住宅ローン」の今後について、特に今後影響が出そうな「変動金利型ローン」の利用者にとっては一段と気になる話になってきました。
※過去の関連記事もコチラからご参照下さい↑
以前、当ブログ内でも変動金利に影響が出そうなマイナス金利が終わっても、既に変動金利ローンを借りている人にとって重要な基準金利の引き上げは、多くの銀行にすぐに広がることはなさそうな予測を取り上げさせて頂きました。今回はその理由を具体的に説明していきたいと思います。
まず知っておくべきなのは、変動型ローンの基準金利は短期プライムレート(1年未満の貸し出しの基準金利、以降「短プラ」)に一定幅を上乗せして決めるケースが多い点です。
その短プラ(本稿での短プラは最も多くの銀行が採用している最頻値、日銀調べ)は、実は2016年のマイナス金利政策導入時には下がりませんでした。最後に低下したのは2009年で、日銀の政策金利だった無担保コール翌日物金利(借りた翌営業日に返す銀行間の資金の金利)誘導水準を0.3%前後から0.1%前後に下げた後です。従って、逆に言うと翌日物金利が0.1%を超えて上がるなら短プラ引き上げが広がる可能性もありますが、内田氏は講演でマイナス金利終了時の対応について「仮に(翌日物金利が0~0.1%で推移していた)マイナス金利導入前の状態に戻すとすれば、現在の翌日物金利はマイナス0.1~0%なので0.1%の利上げになる」と語っており、解除後の金利の上限を0.1%にするとの示唆です。とすると短プラは上がりにくいのではないかと思います。もちろん、翌日物金利の上限を0.1%にしても、日銀が追加的な利上げを急速かつ大幅に進めるとの観測が広がれば、3カ月物などのより長めの短期金利が上がり短プラに影響を及ぼす可能性は十分考えられます。
しかし、仮にマイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げをしていくようなパスは考えにくく、緩和的な金融環境を維持していくと話していただけに利上げを急激に上げていく可能性は低そうです。過度の金利先高観の強まりで3カ月物などの金利上昇に拍車がかかる現象は起きにくいと見られ、やはり短プラは上がりそうにないのが先日の講演を聞いた感想です。以上のように、日銀は消費対策も考慮に入れ、住宅ローン金利への影響を抑える一定の配慮をする考えのようです。マイナス金利が終了しても短プラや変動ローン基準金利は多くの銀行ですぐに上がらない公算が大きいです。
しかしながら、各メディアでも取り上げておりましたが以下の3点には注意が必要です。
第1に変動ローンの基準金利を短プラに基づかない方式で決めている銀行もあるという点。マイナス金利解除時に基準金利を上げる可能性もあります。最近特に人気を博してきた「ネット系」の銀行は独自の基準金利を設けているケースも多いので注意が必要です。
第2に今の住宅ローンは基準金利ではなく、そこから優遇幅を差し引いた金利(適用金利)で貸すのが一般的なので、基準金利が上がらなくても、マイナス金利終了に伴って優遇幅が縮小し、適用金利が上がるケースが考えられます。しかしこれに関しては、既に借りている人の優遇幅は当初の水準が返済終了まで維持されるのが原則なので、適用金利が上がる対象になるのは今後新たに借りる人になります。
第3に既に借りている人も、マイナス金利が終わった後の追加的な利上げ局面では基準金利上昇で適用金利が上がる可能性がある点です。内田氏の言葉を踏まえると、日銀の急激な利上げはなさそうですが、金融政策の正常化がマイナス金利解除だけで終わるとは限りません。コロナ禍において過去各諸外国がインフレ対策として推し進めてきた「利上げ」もインフレの抑制にはつながったものの、失業率の上昇やドル高への対外的な影響といったアレルギーもあり軌道修正はその都度行ってきた経緯があります。米連邦準備制度理事会(FRB)が今年1月12日に発表した2023年決算によると、FRBは1,143億ドル(約16兆5,700億円)の過去最大の赤字となりました。これは、2022年以降の急速な政策金利引き上げの影響によるものです。量的緩和策は、中央銀行が民間銀行から国債など債券を買い入れ、その代金を中銀当座預金に払い込む形で進められます。その際、中央銀行の資産側の債券利回りと負債側の中銀当座預金の利子(付利金利)の差が利ザヤとなります。FRBは、政策金利に連動させて中銀当座預金の利子、つまり付利金利を大幅に引き上げたことで逆ザヤが生じ、これが赤字をもたらしたかたちになったわけです。全てが日本国内の金融政策と同じ影響が出るとは言い難いですが当然、金融正常化を目指す一環として「ゼロ金利政策」にもメスを入れないとは言い切れませんので、マイナス金利解除(4月が濃厚)の為替や物価の安定性やそれに伴う消費者動向に注視しつつ、日銀の今後の舵取りが重要になってきます。
横浜市|タワーマンション|リノベーション|
|湾岸エリア|不動産
神奈川県横浜市中区海岸通4-20-2 YT馬車道ビル301
みなとみらい線 「馬車道駅」 徒歩2分
SANSHIN Real Estate