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日銀事実上の量的引き締めへ

金融

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、円の下落が止まらない為替市場にメスを入れるべく日銀の金融政策決定会合で長期国債の買い入れ減額が決まった話題についてご紹介したいと思います。これは事実上の量的引き締めとなる為、今後の金利動向にも影響が出てくる話題です。

そもそもなぜ日銀が国債を購入しているのかというと?

日銀が金融緩和の手段として、金融市場から国債を購入することで金融市場に資金を供給し、債券価格の上昇を通じて国際の利回りを低く抑えることが狙いです。これを「量的緩和」とも言います。日銀は2001年に量的緩和を導入し、世界で初めて国債買い入れによる金融緩和を実施する中央銀行として世界中から注目を集めました。2013年4月に異次元緩和に着手し、2016年9月には国際の買い入れで長期金利を抑える長短金利操作も導入しました。結果、国債の保有残高は2023年末の段階で581兆円にまで膨れ上がり2013年時点から約6倍近くにまで達しました。これは、発行分に対して約54%保有している計算になります。

そして、とうとう今年の3月に異次元緩和解除を発表してから3カ月で、国債買い入れの減額方針を決定しました。金利に加えて、今夏以降は保有国債の残高縮小に着手し、事実上の量的引き締め局面に入ります。前段でもお話ししたように、日銀は国債市場で過半を保有しておりますので長期戦は避けられない状況です。

「中長期的なタームでみて市場における金利形成の自由度を高めていく」。植田和男総裁は先日の記者会見でこう説明していました。事前予告は利上げなど通常の金融政策プロセスでは取り入れていない「例外的な措置」となります。日銀が今回のような段階を踏んだ背景には、まず日銀の国債市場での存在感の高さがあります。日銀は2001年に世界の主要中銀で初めて、市場に大量に資金を供給する緩和策である量的緩和を始めました。2013年4月から10年超続いた異次元緩和では大量の国債を買い入れました。市場の混乱を避けるため、予見可能性を担保したいとの考えのようです。日銀はマイナス金利解除後も、慎重に市場や経済への影響を見極めて金融政策の正常化の道筋を進める姿勢を示し、3月以前と同程度の国債買い入れを続けてきました。植田総裁は国債購入は「減額することが適当」との認識を示しつつも、具体的な時期や判断軸は明示してきませんでした。また、財務省も個人消費がさえないなかで、緩和の度合いが急速に縮小すれば景気を冷やすと懸念し、早期の減額には慎重な姿勢でした。

では、なぜ今この時期に減額発表の判断となったのでしょうか?

日銀に早期減額着手を促した一因は円安にあります。円相場は3月会合以前は1ドル=140円台後半で推移していましたが、3月会合の記者会見で植田総裁が「当面、緩和的な金融環境が継続する」と強調し、円安が進行。4月会合時は円安が基調的な物価上昇率に「今のところ大きな影響を与えているということではない」などと述べたことが円安軽視と受け止められ、4月末には一時1ドル=160円台まで円安が進みました。植田総裁は5月に岸田首相と面会後、円安について「最近の円安の動きは物価の上振れ要因であり、政策運営上、十分注視をしていく」と述べ、それまでの発言を軌道修正しました。日銀が官邸の意向をくみ取り、円安に『無策』との批判を避けるために動いたともとれます。

市場では早速、日銀が次回7月会合での利上げを見送るとの見方が出ています。だが植田総裁は会見で7月会合に関して、経済・物価情勢次第で利上げは「当然あり得る話だ」と指摘し、国債減額の開始と同時に追加利上げに踏み切る可能性に含みを持たせました。植田総裁は「減額する以上は相応な規模」とも述べているところに私は注目しています。これは、減額幅が市場の共通認識だった1兆円より多い2兆円程度に膨らむ可能性がありそうです。もっとも、日銀が急激に国債購入を減らすことは想定しづらく、長期金利の上昇圧力は限定的と見る向きが大きいです。なお、住宅ローン金利にも大きな影響を及ぼす政策金利に関しては、今のところ0%〜0.1%程度に据え置く方針ようです。

海外では米連邦準備理事会が2年前に量的引き締めを発表し、実際に2022年の6月から保有額の減額計画を発表しています。による利下げ見通しが年内は1回に減り、日米の金利差を理由とした円安圧力もくすぶり続けています。そうしたなか、市場からは厳しい見方もあり、長期国債の買い入れ減額は円安に歯止めをかける材料にはならないという意見もあるようです。米国の利下げ開始までは円安は容易に反転しないとの予測が強いようです。植田総裁も会見上で述べているように減額過程で長期債市場に不安定な動きが大きく起こることは避けなければなりません。これから、前例のない額の保有国債を抱える日銀による減額で、手探りの市場との対話が始まります。デリケートな市場は、こうした植田総裁の発言一つで動きが変わる状況ですので7月の金融政策決定会合では減額計画の具体的な内容など、どのような判断を下すのか注目が集まります。

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