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本日は、マンションの管理費、修繕積立金が徐々に上昇してきている話題についてご紹介したいと思います。この話題は、我々不動産業界にとっても今後の住宅選定において無視出来ない話題になります。
先日発表された記事によると、不動産調査会社の東京カンテイ調べでは2023年の首都圏の新築マンション管理費は1戸(床面積70㎡)あたりで月2万358円と前年比4.1%上昇しているそうです。調査を開始した2014年以来、初めて2万円を超えています。修繕積立金をあわせると年間で約35万円、都区部では40万円を超える結果となりました。(※対象は首都圏や関西、中部エリアで調査物件は1戸あたりの平均専有面積が30㎡以上の新築分譲マンションで、一般的な住戸サイズである床面積70㎡に換算して集計)
管理費は2年連続で上昇しているそうで、コンシェルジュの配置やトレーニングジムといった共用施設の充実など住環境の向上を図った物件が増えたことが背景にあります。東京周辺のマンションは高額物件を求める外国人からの引き合いも強く、供給サイドが高スペックな物件を提供するようになってきています。物件管理者の人件費上昇も管理費を押し上げている要因の一つですが販売元の大手デベロッパーも単純に維持費を上げる訳ではなく供給戸数増やすなどして少しでも戸あたり負担を抑える企業努力はしてきたもののここにきて原材料の物価高騰や人件費不足も重なり同調する流れになってきています。毎月積み立てる修繕積立金も、首都圏で8729円と前年比9.9%高と主に資材コストの上昇が影響しています。
管理費と修繕積立金の合計額は首都圏の平均で月2万9087円で、2014年と比べて32%上昇しています。10年でこの上昇率には驚きです。年間では34万9044円で、東京23区だと月3万3438円、年間で40万1256円になる計算です。各社デベロッパーも将来の人件費や資材費の高騰を見越して、ランニングコストの負担を高めに設定する傾向が今後トレンドになってきそうです。
そして、こうした修繕費高騰の歪みは管理組合が大規模修繕で費用を銀行からの借り入れに頼る動きとして加速してきています。2000年代の大量供給物件が修繕期に入り、工事費は上昇しています。近年は修繕積立金を段階的に増やす予定が狂い、資金不足に陥る例もあり社会問題へと発展してきています。日銀の政策修正で歴史的な低金利環境の変化が予測されるなか、返済可能か目配りが欠かせない状況です。
そんな中、住宅金融支援機構が手掛ける「マンション共用部分リフォーム融資」は年々増加傾向にあります。最新の2023年度は約196億円と実績を公表している2011年度以来最も多くなっています。組合が外壁塗装や給排水管補修など共用部分の工事に使える融資で、金額は10年前の3倍に迫る勢いだそうです。特にここ1年の増加が大きく、2023年度は前の年度比約4割増を記録しています。修繕を必要とする老朽マンション増加が融資増の主因ではありますが、2000年代に大量供給された物件が最初の修繕時期に差し掛かり、工事費上昇に直面した影響も出てきています。
不動産経済研究所によると、全国の新築マンション供給は2000年代、2008年のリーマン・ショック前までは年15万戸前後と2023年実績の2倍超の高水準で推移しているそうで、大規模修繕は通常十数年に1回の周期で繰り返す計算です。大量供給された物件の工事が近年集中した可能性があります。
一方、資材高などを背景に修繕工事費は上昇している。新型コロナウイルス禍やウクライナ危機などが重なり、鋼材や生コンクリートの価格上昇率は一時、前年比2ケタとなる場面もあり、最近は人手不足も深刻で、人件費上昇を求める動きも出ています。
修繕に充てる資金が不足しやすい構図も借金依存に拍車をかけています。近年の物件では購入当初の修繕積立金を低く設定し、数年おきに上げる「段階式」が多く、2018年度の国土交通省調査では2000〜2009年に完成したマンションは約57%が段階式というデータもあります。入居後(引渡し後)にランニングコストを上げるのはやはり難儀で、所有者の話し合いが難航し計画通りに引き上げができない物件も出てきているのは事実です。築年数が比較的浅い物件でも、積立金だけでは工事費上昇に対応できない場合があるので住宅金融支援機構と同様の融資を手がける民間ノンバンクへの需要も今後かなり見込めます。
2023年度の国交省調査では修繕計画に対して積立金が不足するマンションは36.6%を占めると言われています。今後、工事費や人件費高騰次第ではこの数字もさらに膨れ上がる可能せが出てきています。
金利が低水準だったのも融資利用を後押ししてきた要因のひとつです。住宅金融支援機構の場合、直近の24年7月で返済期間1年以上10年以内の固定型が年1%を切ります。2011年度と比べ0.8ポイントほど低く、一部の自治体は利子補給の形で助成しており、借りる負担は小さくてすむため強い味方でした。ただ3月に日銀がマイナス金利解除に動くなど将来の金利上昇観測は強まっている中、融資は積立金増額などでの返済が原則で、安易な依存は管理組合の財政を不安定にする可能性があります。さらに、積立金が不足していて、融資審査が通らない老朽マンションも一定数に上るのではないかとの問題もあり、こうした物件の修繕をどう支援し進めるか?中古不動産流通の活性化を考える上でも、国や自治体などにも重い課題になりそうです。
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