改めて考えるマンション共用部の災害に対する備えとは?
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本日は、日経新聞にも取り上げられておりましたマンション共用部の火災保険の話題についてご紹介したいと思います。
今年1月1日に石川県能登地方を震源とした能登半島地震が発生し全国に緊張が走りました。 10月1日時点で、死者は401人、負傷者含めると1,740名もの人的被害(内閣府HPより参照)が出ており、その他全壊家屋は6,273棟にのぼります。
また、同じく能登半島では9月にも集中豪雨により大きな被害が追い打ちをかけました。日本は地震大国であり、台風大国でもあります。過去にも様々な地域で忘れられない記憶として大きな爪痕を残しています。そうした中、地震被害に対する保険を活用した金銭的な備えが今改めて注目されています。地震で建物に損害を受けたとき、まとまった資金を受け取れるのが地震保険です。しかし、個人の居住スペースの専有部に比べ、マンションの共用部に対して地震保険を付ける割合は未だ低いです。日本の地震に対するマンション建築技術は世界でも随一であり、耐震構造であるが故に地震保険を見合わせたり未加入にしてしまうケースも珍しくありません。
マンション共用部の保険加入に関しては、管理会社に一任するケースや管理組合での話し合いにより決まります。管理会社の多くは、損害保険会社の兼業代理店となっており、マンションの火災保険は竣工、引渡し後にすぐ火災保険を掛けなくてはならないため、竣工後すぐにはまだ管理組合の組織が機能していませんので、分譲会社系列の管理会社が手配するケースが一般的です。そして、保険会社に選定、補償の内容の選定は管理会社が管理組合に代わって保険契約の締結をしているのが実態です。
また、火災保険の契約は満期の時に更新されますが、この時、管理組合は共用部の火災保険を管理会社任せであることが多く、見直し(補償内容の見直し、他の保険会社の見積もり)を何年もしていないケースがあります。5年長期一括払い契約の場合は、5年間は見直されなくなることが考えられます。一方、5年の間に震災や自然災害のリスクが高まるなど損害リスクが変わることもありますし、火災保険料も大きく変わったりしますので注意が必要なのです。契約時には他社からも見積を取り付けて比較検討しないと、結果的に管理組合にとっては他に比べて不利な内容で割高な火災保険に加入している可能性もあります。マンション管理組合の火災保険料は管理費から支払われますので管理費の適正な消費、管理費削減のためには、「マンション共用部火災保険の定期的な見直し」を実施することは、管理組合としての重要な仕事といえます。その管理組合としての仕事を管理会社に全て託すのではなく管理組合の一人一人が考えていくべき問題の1つであると思います。
天災以外のリスクもあります。もマンションの中にも、戸数違いによる規模数や築年数、立地を考慮して加入する保険を選定しなくてはいけません。水漏れ損害事故が起きやすくなる築20年を超える分譲マンションの増加や、築年別の損害率の悪化(特に築年数20年を超えるマンション)、高経年マンションの事故形態は給排水管の劣化による漏水が多く、大型台風など自然災害による事故の増加により共用部の損害が増えています。マンション設備のうち、給排水管は築15年~20年前後で更新工事、もしくは、更生工事を実施するのが望ましいと言われていますが、工事費が高額であることや工事中の居住者の負担もあることから実行されていないケースが多いです。これとは他に修繕積立金不足等の理由により、いずれの工事も実施してないケースがあり、適切なメンテナンスが行われていないマンションは給排水管からの漏水事故が多発しているケースもあります。
分譲マンションには、各居室の区分所有者が所有する専有部分と、共用の玄関ホールや廊下、階段室などの共用部分があります。共用部分は区分所有者全員の共有に属し、通常は管理組合にて保険の手配を行っています。
専有部分:所有者の各個人が火災保険+個人賠償責任補償+地震保険などに加入
共用部分:管理組合が火災保険に加入(火災保険+賠償責任補償+地震保険)
共用部分の火災保険の補償内容は、住宅向けの火災保険とほぼ同じ内容です。(一部積立型の契約が存在しますが、利回り低下により新規で付保されることはほとんどなく、更改のタイミングで多くの契約が掛捨型に移行しています。)
財産に関する補償は建物(マンション共用部分)の起こりうる、下記のようなリスクから火災保険で財産を守ります。
では、管理組合の皆様が加入するマンション共用部分の火災保険にはどのような補償内容があるでしょうか?
▪️火災・落雷・破裂・爆発
▪️風災・ひょう災・雪災
▪️水災
▪️建物外部からの物体の衝突等
▪️給排水設備の事故による水ぬれ
▪️騒擾・集団行動・労働争議に伴う暴力行為・破壊行為
▪️盗難
▪️破損・汚損
これらの他に、電気的・機械的事故を補償する特約やその他の諸費用(事故時諸費用、水漏れ原因調査費用、残存物取片付け費用、修理付帯費用)などがあります。地震による火災、損壊、流失などの損害は火災保険からは対象となりません。地震による火災や倒壊は地震保険でカバーするしかありません。※地震保険は単独で加入することができませんので、共用部の火災保険とセットで加入する必要があります。
区分所有者が毎月徴収されている管理費の中には、こうした火災保険や地震保険などの保険料も負担していますのでご自身のマンションで気になる方は総会議事録を閲覧したり、管理組合の総会へ参加してみて主体的に直接保険内容について各保険会社の補償内容を精査し議論してみてはいかがでしょうか?
今回、被災について改めて地震の怖さと備えに対しての重要性を考えました。毎年のように発生する天災は我々の日常生活でも目を背けることの出来ない話題です。被災された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、被災者の救済と被災地の復興支援のためにご尽力されている方々に深く敬意を表します。被災地域のみなさまの安全確保、そして一日も早い復旧・復興を衷心よりお祈り申し上げます。
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