注目される税収増自治体の予算配分
やはり、人口増加の成長率を見ると「還元」すべきは子育て支援や子育てインフラへの整備などこれから未来を担っていく世代や世帯に対しての政策です。2022年度は9割弱が2021年度より税収を伸ばし、東京23区と30市町村は10年連続の増収になっています。自治体によって考え方や方針は様々で、企業進出が進む栃木県壬生町は10年間に59%増えており、公共交通網の整備といった課題の解決に生かしています。
2022年度の固定資産税収が31億円と10年前より11億円増えた栃木県壬生町は、関連企業の多さから「おもちゃのまち」と呼ばれるなど、積極的に企業誘致を進めてきました。2016年には産業用ロボットのファナックが進出してきたり、会員制量販店のコストコも2022年に新店を開いたりと企業側からのラブコールも増えてきています。同町によると、2022年は転入者が転出者を約100人上回る社会増となり、固定資産税を含めた地方税収は堅調で、2013年度からはインフラ整備などに使う都市計画税の徴収をやめています。市長も好調な税収を生かして住民の利便性をさらに高める方針を大々的に打ち出しています。
その他、10年連続増収の茨城県阿見町はJR常磐線や首都圏中央連絡自動車道の近隣で宅地などの開発が進んでいる街です。人口は10年間で4%、固定資産税も28%増加し、好調な税収を生かして子育て支援に力を入れています。18歳までの医療費は無料で、小学校に入学する児童にはランドセルを贈るなどまさに還元施策を実施している自自治体です。2026年度には子育て世帯の育児相談や交流の場として「子育て支援総合センター」も新設するなど予算の割り振り方が明確なのが特徴的な地域です。同町の人口は5万人を超えており、今では市移行を視野に入れています。市となることで県が担う事務事業の一部が移管されれば、福祉面などでよりきめ細かな住民サービスができるため人口増は様々な面でも相乗効果をもたらしていきます。
さらに、北海道倶知安町はスノーリゾートとして訪日客などからの人気が急上昇しており、外国資本による活発な不動産投資などもあって、2022年度の固定資産税収は約20億円と10年前から倍増しています。一方、急激に開発が進んだことでゴミ処理などの行政負担も拡大している弊害もあり、町は従来の税収の増加分だけでは追いつかないとして、2019年に町独自の税金として「宿泊税」を導入したりと軌道修正を試みています。
神奈川県では唯一10年間、固定資産税が増収し続けている「海老名市」が注目されています。市内には小田原線、相模鉄道本線、JR相模原線の3線9駅を誇る交通網が魅力です。昨年の3月には、相鉄と東急の相互直通する新横浜線も開通して都内へのアクセスが格段にスムーズになりました。駅前開発も盛んで大型商業施設や分譲マンションの建設で新しく生まれ変わりました。こうした流れが地域への関心を呼び、人口流動へつながってきています。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)で有名な海老名インターチェンジ周辺には物流倉庫も増え、企業誘致でも注目される存在になってきています。
固定資産税は市町村にとって重要な財源でもありその活かし方が問われています。また、その地域の特徴を活かした企業誘致にも法人税収の増加につながるので今後更なる注目が集まります。高まった財政力を生かして多様な行政ニーズに対応することができれば、各地域の活力を生み出せるはずです。
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