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「マンション管理組合」経営の難しさ

管理

山田 恵二

筆者 山田 恵二

不動産に関する事なら何でもご相談下さい。
特に、マンションに関しては長く扱ってきた経験もございますので将来のトレンドを見据えたご提案はもちろん、住宅ローンや税金に関しても細かくご説明致します。
自身の購入や売却といった実際の取引経験も交えてお客様一人一人に合わせたご提案を心がけております。

皆様、弊社SANSHIN picksをいつもご覧頂き誠に有難うございます!

本日は、過去SANSHIN picksでも何度か取り上げてきたマンションの「修繕費問題」について改めてご紹介したいと思います!

私自身、マンション住まいが長いので無視出来ない話題です。この問題は規模に関わらず各マンションで直面する問題です。特に老朽化で改修工事が急務なマンションにとってはかなり深刻な問題で全住民の意見の調整がつかないと前に進まないのでさらに難しさを増します。築年数が経っているマンションの場合、分譲時購入した入居者自身も年齢を重ねているケースがほとんどで場合によっては所有者不在で相続人から探さないといけない場合もあります。今のように、ライフスタイルに合わせて中古で売買といった短期所有者も少なく長期に渡り所有している場合がほとんどです。

分譲マンションの新規供給戸数が多かったのは、1990年代半ばから2000年代半ばで、築20年以上が経過し、住民も高齢化する物件が増えています。年金暮らしになるなど収入が減少する世帯が増え、積立金の増額が難しい物件は多いのが現実問題です。


そんな中、修繕資金が不足する分譲マンションが増えているというニュースが話題になっています。資金不足で必要な修繕ができないと建物の老朽化が進み、水漏れなどの事故が発生する確率が高まるリスクがあります。居住環境が悪化するほか、資産価値にも影響してくるので、必要な資金の確保には早めの対策が重要になります。

マンションは当然築年数の経過に伴い劣化します。住みやすさや資産価値の維持には、定期的な修繕が必須ですが、修繕資金が足りない分譲マンションが増えています。国土交通省の「マンション総合調査」(2023年度)では、修繕積立金の残高が長期修繕計画に対して不足しているマンションが4割に上ったという報告があります。

では、ここにきてなぜこうした問題が多発するのでしょうか??

修繕積立金はマンションの住民から毎月徴収する仕組みです。資金不足の主な要因の一つとして、積立金の徴収方法を指摘する声は多いです。新築マンションでは分譲会社が積立金の徴収方法を決めます。多くの場合、積立金額を段階的に増やす「段階増額積立方式」を採用します。

段階増額方式は、新築当初の徴収額は少なく、購入者には住宅ローンの毎月の返済を考えるとランニングコストを抑えたいので魅力的に思えます。とはいえ、計画通り積立金を増やせるとは限らないところに問題があります。増額が必要な都度、管理組合の総会で過半数の賛成による決議が必要となります。合意できず増額できないケースは少なくなく、2023年度のマンション総合調査によると、段階増額方式の管理組合のうち、直近の積立金の増額について「計画通り増額できた」のは約59%にとどまるそうです。「引き上げできたが計画の額までは増額できなかった」が26%、「増額したかったができなかった」が4%だそうです。計画通り増額できない割合は築年数の経過と共に増える傾向にあります。この問題、築10〜15年で2割、築20〜25年で3〜4割に達しています。

では、修繕資金不足に陥らないために、管理組合ができる対策は何か?

築年数が浅い段階で早めに積立金の徴収方法を『均等積立方式』に変更することで将来的な資金不足の予防にはなります。均等方式は、長期修繕計画に基づき資金確保のために必要な金額を割り出し、毎月一定額を徴収する仕組みで、段階増額より当初の金額は多くなりやすいですが、修繕費用の見通しが変わらなければ途中の増額が不要で、計画通り資金をためやすいというメリットはあります。

しかし、徴収方法の変更も管理組合総会で過半数の賛成が必要なため、いかに住民の理解を得るかがカギとなります。

この問題は、兎にも角にも話し合いなので簡単ではありません。何十年も前の分譲時の長期修繕計画では社会情勢や経済感も変化しているため破綻しているものも少なくありません。必要な修繕の見極め(予算組み)には、長期的な視点も必要です。まずは、新たに今後の長期修繕計画を再見積もりするのも手段の一つです。展望がなく、修繕を行き当たりばったりで決めると住民が後悔する結果にもなりかねません。例えば敷地内の子どもの遊具が劣化したケースだと、新築で入居した多くの家族の子どもは既に巣立ち、不要と考え修繕せず撤去してしまうとその結果、若い世代の入居が減り、資産価値の低下につながってしまいます。

修繕資金不足の解決策として、まずは住民からの徴収額を上げることですが、資金を増やすためには運用も検討しなくてはいけません。2023年度のマンション総合調査によると、徴収した修繕積立金を、低金利の銀行の普通預金に預ける管理組合は77%に上るとのことです。

以前もご紹介しましたが、少しでも額を増やしたいときに活用できるのが、住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」です。管理組合向けに修繕積立金の運用を目的として販売する債券です。中途換金時には元本に所定の利息を加えた金額が戻り、手数料もかかりません。2024年度に募集した10年債の利率は、満期までの平均で年0.5%(税引き前)でした。管理計画が適切なら利率を上乗せする制度もあり、地方自治体の「管理計画認定」を取得したマンションは、利率が同0.55%にもなります。購入額が5000万円なら、10年経過時の受取利息は税引き前で25万円差が出る計算ということです

では、運営する上でどういう経営策があるのか⁈

ここで運用上重要なのは、修繕資金は将来必ず使うということです。元本が減る可能性のある運用は避けたいので、株式や外国債券などは避けた方がよさそうです。その他、マンションが持つ資産を使って「稼ぐ」道を模索する管理組合もあります。例えば、敷地内の空きスペースを有効活用し、ゴルフシミュレーターやトランクルームなどを導入すれば、時間制で有料で貸し出しできます。空きが出た駐車場を外部の個人などに貸し出せば、賃料を得られます。屋上に広告看板を取り付けたり、携帯電話の基地局となるアンテナを設置したりすることでも収入を獲得できます。しかし、新たな設備投資を行えばその分、安全性の確保や防犯対策にまた費用が嵩んでしまうことも考慮に入れなくてはいけません。

さらに、管理組合が「収益事業から生じた所得」を得ると、法人税を課されることも注意しましょう。納税のための計算書類などを税務署に提出する必要があり、会計士や税理士といった専門家に依頼しなくてはならなくなります。税理士に支払う費用などを考慮すると、最終的な収益がマイナスになることもあり、労力に見合わないケースも多いので、そこはマンション内に税理士や会計士の資格を持った方が役員になってくれると助かります(労力としては役員報酬で調整するのもいいかと思います)。

何かの不足を何かで補うとそこから新たな問題や綻びが出るのも事実なので、やはり早い段階から、長期的な視点で資金計画を練っていくことがまずは重要になります。マンションの管理組合も収支報告があるように立派な「経営」です。住民全員かた徴収した資金を将来の住まい環境にどれだけしっかりと投資できるかにかかっています。本日ご紹介したように、まずはお住まいのマンションを今後どう維持していくか方向性を決める上でも総会でご自身の意見を話してみることも大切です。それが出来なくても、今の経営状況を把握する上でも議事録にはしっかり目を通すことが本当に大事です。

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