建設業に新たな常識!木造ビルの誕生
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昨今の建設業界では、異常なほどの建設費のコスト高(資材費や人件費など)が懸念しされています。以前のSANSHIN picksでもご紹介しましたが工期の長い大規模なビルなどでは、それにより建設当初の計画から大幅なコストアップにより工事を中断したり、計画自体を見直す動きも出てきています。
そんな中、建設業界に新たな試みとして革新的な技術の進歩が話題になっています。ハウスメーカー大手の住友林業は2028年にも純木造の中層ビル開発に乗り出すことを発表しました。4階建て程度のオフィスなど非住宅物件を対象とし、RC造(鉄筋コンクリート造)より工期を短くして建設費を同程度に抑えるほか、二酸化炭素(CO2)排出量も削減することで環境にも配慮した効果が期待出来ます。戸建て市場が縮小するなか、コスト抑制と環境性能の高さを両立して需要を掘り起こすこうした動きが今後の建設業界でどこまで浸透するか注目が集まります。住友林業は、柱や梁といった全ての構造部材に木材を使う純木造の住宅建築に強みを持っています。現在木材も海外からの輸入に頼る日本の中でも心強い企業です。戸建てなどを対象に、資材調達から加工までの独自のサプライチェーン(供給網)を確立していることは大きなポイントになります。
中層ビルでも、こうした供給網を活用することが強みです。木材を工場で事前に加工し、施工現場に運ぶ体制や技術が2028年にも構築できる見通しが立ったことが今回の発表へつながりました。現在同社では、耐震・耐久性を高めた独自構法を生かし、企業や病院などの非住宅に提案する一方、通常の住宅も手掛けています。木造の中層ビルは耐火基準を満たすため多くの木材が必要になり、鉄骨造などと比べて建設コストが高くなりやすいですが、一方でコンクリートを流して固めるといった工程が省ける利点もあります。林野庁によると、木造はRC造と比べて3カ月程度工期が短いということです。現場で組み立てるだけにすることで、工期短縮による人件費などを削減できるのはその分人件費へのコストダウンにもつながりメリットはあります。住友林業は建設コストを鉄筋コンクリート造と同水準まで抑えるとしており、住友林業も既存のサプライチェーンを利用した木造化は競争力があると考えているそうです。
注目されているのは工期短縮だけではなく環境性能も高いところにもあります。住友林業は木造3階建て1500㎡の事務所の場合、建築から解体時までの作業工程において排出されるCO2量を45%削減できると試算しています。木材は鉄骨などと異なり、樹木が成長する過程で吸収したCO2を炭素として固定させます。このため、木材を使うだけで排出量をさらに減らすことができます。現在、少子高齢化に伴う人口減で木造住宅市場は縮小傾向にあります。ただ2019年施行の改正建築基準法で耐火などの規制が緩和され、従来より木造が開発しやすくなったことで追い風が吹いています。
なかでも非住宅分野は成長が期待できる分野です。国内の非住宅木造の工事費が2030年度には2025年度予測比24%増の1兆1400億円となる試算が出ており、資材など建築費用の高騰も課題となっています。建設物価調査会の調べでは、鉄筋やH形鋼は東京地区で2021年初に比べて3〜4割程度高い水準にあり、日本は鉄の原料となる鉄鉱石を輸入に頼るため、今後も為替や市況変動のリスクが伴うことになりそうです。
こうした変化を受け、業界大手各社は相次いで木造ビルの建設に乗り出しています。大林組は2022年に、横浜市で高さ約44mの純木造ビルを完成させ話題になりました。弊社事務所の近くで建設されたのもあり、完成した11階建ビルを見学に行きましたがとても木材が透けて見えるガラス張りの外観はおしゃれなファサードに仕上がっており違和感無くビル街に溶け込んでいたのが印象的でした。さらに工期が短かったのも当時驚きました。屋上や外交にも緑化を採用しており、環境面にも配慮された印象を受けます。
※関内に2022年に完成した木造ビル
その他、木造の高層ビルでは、三井不動産が2028年度に2棟目となる木造の賃貸オフィスビルを竣工します。東京海上ホールディングスは東京・丸の内で高さ約100mの木造中心の本店ビルを2028年度に完成させる予定となっています。大和ハウス工業や三井ホームといった大手ハウスメーカーも、中規模の集合住宅や非住宅で木造化を進めているようです。欧米と日本では耐火基準が異なるため、欧米は日本と比べて建築物への環境規制が厳しく、中高層ビルの建設に木材が使われるケースが多く、住友林業も英国で木を使った増改築を手掛けることでそのノウハウも活かされています。ハウスメーカーの試算によると日本でこうした耐火基準をクリアさせると、4階建てくらいまでは木造のコストメリットが見込めるようです。今後こうした実績と共に需要が高まり、高層ビルもコストダウンが実現化すれば建設業界ひいては、不動産業界にも発展の大きな兆しになることは間違いないので期待が膨らみます。
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