建設業界に黄色信号⁉︎各地で工事停滞の実情
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本日は、建設業で資材費・人権費により高騰を続けていることを背景に、着工が停滞している話題についてご紹介したいと思います。この問題、今後の開発事業含め計画自体が頓挫することも考えられ由々しき事態へと発展してきています。
特に、建設物価調査会が発表した最新5月のデータではビルやマンション共に最重要な材料でもある「生コン」の取引価格が上昇し過去最高値を更新しています。値上げの原因は、原材料や人件費の高騰からきており生コンの原材料でもあるセメントは、大手メーカーが設備投資費などの上昇を理由に値上げを打ち出している状況です。強度を上げるためにセメントに混ぜて使う砂や砂利などの骨材も値上がりしているだけでなく、生コンを工事現場に運ぶミキサー車の運転手不足も人件費上昇の要因になっています。逆に、鉄筋コンクリリートに使う異形棒綱は需要の弱さから値下がりが続いていたり、銅価格の下落から電線やケーブルの値下がりも目立ち建設停滞を助長してしまっています。
現在、国内ではマンション以外だと商業施設や工場なども建設が停滞しています。建設会社が手元に抱える工事は金額にしてなんと15兆円を超え、過去最大に膨らんでいます。かねて深刻な人手不足に2024年からの残業規制が拍車をかけており、生産性の向上を急がなければ、民間企業の設備投資や公共投資の制約となり、日本の成長力が一段と下振れする恐れがあるので無視出来ません。それだけではなく、漸く竣工したマンションも原価上昇により販売価格へそのまま転嫁されてしまうことで消費力低下へ直結する怖さもあります。
大手商業施設企業のイオンモールは福島県伊達市の店舗のオープンを当初予定の2024年末から2026年下期に延期しています。建設作業員が集まらず、工事が計画通りに進まなかったことが原因で、東北地方は人手がもともと少ないうえに各地に散らばって確保が難しいという現状もあるそうです。残念ながらこうしたケースは各地で相次いでいるようです。国土交通省の建設総合統計によると、建設会社が契約したうち完了できていない工事は2025年3月に15兆3792億円(12カ月移動平均)に達しています。物価上昇も影響し、業界全体のデータを遡れる2011年4月以降で最も高い水準で推移しています。
過去を振り返ってみると1990年代初めごろも今と同じように手持ち工事高が積み上がっていました。当時はバブルの崩壊で経済が長い低迷期に入る前で、建設需要の増加が大きかったことが要因でした。しかし、今回のケースと大きく違うのは業界全体で供給力が縮んでいることです。総務省の労働力調査によると、2024年の建設関連の就業者数は10年前に比べて6%減り、477万人となっており、このうち65歳以上が80万人と2割近くを占めている状況です。高齢化率は10年間で5ポイント上がり、加齢で体力が衰えれば若いころのようには働けなくなる懸念があるだけに純粋な生産力低下が目立ってきています。
社会全体での働き方改革の不可逆な流れも、こと労働力の確保という部分では残念ながら逆風になってしまっています。2024年4月に始まった時間外労働の上限規制で、建設業は原則として月45時間、年360時間までしか残業できなくなりました。結果として2024年の一人あたりの総労働時間は前年から32.3時間減り、マイナス幅は全産業平均の14.3時間を上回っています。以前より、重労働として問題視されていた建設業ではありますがここにきてその是正が裏目にでてしまっています。そうした中、限りある人手の争奪戦は激しくなっています。先端半導体の量産を狙うラピダスの工場建設が進む北海道は、従業員10人以上の企業で働く建設労働者数が2023年におよそ13万人と前年比23%増え、所定内給与は月平均32万6000円程度と3万円以上増えています。伸びは全国平均の約1万4000円を上回り収入面において今後の就職需要に期待したいです。こうなると当然に建設業各社は、利益率の高い工事を優先する傾向が強まってきます。民間の産業用建築物の1㎡あたりの着工単価は、2024年におよそ30万円と前年から18%も上昇しています。そして、近年は中小の建設会社の廃業も目立ってきています。人手の確保で後手に回り、好採算の案件にあぶれて生き残りが難しくなっています。労働集約型の産業構造の改革という古くからの課題も改めて浮上しています。日本の建設業は昔から中小が多くITの導入が遅れています。建設従事者が使える省人化などのソフトウエアの一人あたり導入量はフランスや英国の5分の1にとどまるというのが現状の試算で、こうした由々しき人手不足にも代替できる対応策がないことも痛手となっています。業界全体でこうした弊害は大きく、働き手の確保が難しい現状を打破するにはデジタル化などによって生産性を高めるのも今後見直さざるを得ないです。
建設業は日本の国内総生産(GDP)の5%程度を占める大きな担い手です。内需の柱である設備投資の3分の1ほどにあたります。全ては連結しており、工場の建設が停滞すれば、備え付ける機械の投資の遅れなどにも波及してしまいます。ただでさえ低成長が続く日本経済のボトルネックになりかねないので建設業の原材料高騰と人手不足による人件費高騰は、政府も「米」だけでなく注力していかなくてはならない重要な課題となっています。
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