
都市部オフィス賃料上昇加速

とりわけ八重洲〜京橋〜日本橋地区は今年2月に東京建物が手がける「TOFROM YAESU TOWER」が完成し更なる注目を集めています。その後も「東京ミッドタウン日本橋」「八重洲2丁目中地区」「八重洲1丁目北地区」などの供給が続く注目エリアとなっています。2029年春に八重洲2丁目中地区へ移転する予定の製薬会社大手の中外製薬も東京駅・京橋駅直結で交通利便性の高い立地で、1フロアが広くて社内の連携が取りやすくなりそうだったことが移転理由だそうです。
今まさに都心エリアのオフィス街では貸主側が賃料をどこまで引き上げられるか上値を試している感もあり、三井不動産が手がける八重洲2丁目中地区は1坪あたり10万円台の募集を始め、一定規模のテナントで成約も出ているそうです。次いでIT関連やスタートアップ企業に人気の「渋谷〜原宿」地区は前年同期比5%高の5万2500円となっており、同地区でオフィスを選ぶ新興企業の需要が今後も根強そうです。
空室状況はどうかと言うと、東京都心のオフィス需給はタイトな状況が続く見通しでオフィス仲介大手の三鬼商事によると、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は3月に2.22%と需給均衡の目安とされる5%を大きく下回っている状況です。
東京で2026年に供給されるビルの約8割はすでに埋まっているとの一部報道もあり、2027〜2028年は過去平均より3〜4割供給が少ない見込みのため、需給はさらに逼迫する可能性があります。新築ビルが大型化していることも賃料の上昇要因となっています。森トラストの調査によると、東京23区で2026〜2030年に供給されるビルに占める超大規模ビル(延べ床面積20万㎡以上)の割合は31%と、20年前の3倍以上にまで膨れ上がっています。日経新聞の調査によると、東京の既存ビル(築後1年以上)の賃貸料指数は183.64と前年同期に比べ17.83ポイント(10.8%)上昇し、31年ぶりの高水準だそうです。今後も、新築ビルにつられるかたちで既存ビルも大幅な底上げが続きそうです。
その他、地方都市はというと大阪の2026年上期の新築ビルの指数は212.65と前年同期と比べ12.3ポイント(5.5%)低下しており、新規供給が少なく、一部エリアの下落が全体を押し下げはしたものの、2025年下期(210.42)比では2.23ポイント(1%)高くなっています。需給が逼迫した状況はこちらも同じようで、エリア別では「御堂筋淀屋橋周辺」の上昇が目立っています。2025年に相次ぎ完成した「淀屋橋ステーションワン」や「淀屋橋ゲートタワー」はいずれもほぼ満室に近い状態となり話題となっています。「難波駅周辺」では南海電気鉄道(現NANKAI)が複合ビルを開発し、昨年竣工しました。いずれのフロアも満室で稼働しているようでANAホールディングス子会社が借り上げてオフィス入居者などにサブリースしています。
既存ビルの賃料指数も177.69と、前年同期と比べて21.22ポイント(13.6%)上昇しており、近年大規模供給が相次いだ梅田周辺や淀屋橋といった地域への移転によって各エリアで発生した二次空室も、新たなオフィス需要によって順調に消化が進んでいるとみられます。大阪での大規模なオフィス供給が先細ることを見越して、賃料を強気に設定している動きも顕在化しているようです。
この加熱ぶりからすると、2027年までは需要超過が続き空室率は低下、賃料は上昇傾向で推移すると予測されます。一方、オフィス市場では人工知能の活用で雇用や働き方の変化への関心も高まっており、すでに米国ではAIの影響が雇用に及び始めていることに注目が集まっています。米チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、米企業や政府機関が計画した3月の人員削減数は6万620人で、そのうち1万5341人の削減理由がAIだったそうです。オフィス市場では影響はまだ顕在化していないようで、短期的にはAI関連企業が人員を増やすのでオフィス需要が高まり、中長期的にはAIが浸透し生産性が高まることで人員が減らされて需要が冷えるという見方が多いいようです。
今後、日本にもその波はやってくるのでしょうか?AIの普及により作業効率が上がる一方でこうした雇用問題にも拍車がかかりそうです。しかし、経済発展には雇用促進も切り離せない問題なのでAIとの上手な付き合い方が求められます。
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