
定期借家賃貸借契約VS普通賃貸借契約
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賃貸を借りる際に、目にする「定期借家賃貸借契約」と「普通賃貸借契約」なんとなく違いはわかるものの損得に違いはあるのか?と借りる側の視点として疑問に思うこともあるかと思います。答えを言えば損得に違いはありません。ですが、貸主側からすると大きな違いがあるため昨今では前者の「定期借家賃貸借」が契約形態としては増えています。

定期借家は契約期間があらかじめ決まっていて更新がない契約を指します。借り手は期間満了後に原則として退去し、住み続けたい場合には双方の合意による再契約が必要になります。募集時に「再契約可」などと記載があれば借りて側からすると呼び名が変わるだけで基本的には更新が可能な普通借家と変わりはありません。しかし、貸し手側からすると長い目で見た際に不測の事態に備え、契約期間が満了した際に退去を強制出来る点で優位な契約とされることがポイントとなります。ファミリー向けの大型物件の契約期間は、普通借家では2年が大半。定期借家では3年や5年といった長めのケースも多いと言われています。
同じ物件であれば、契約に条件があるぶん普通借家よりも定期借家のほうが家賃が低くなるというのが業界の通説でしたが、ここ数年で状況は変わりつつあります。契約期間の満了後に更新がない「定期借家」契約のマンション家賃の上昇が東京23区で加速しているからです。ファミリー向けの大型物件では定期借家の平均家賃の上昇率が普通借家を上回っており、貸し手が優位な家賃を設定しやすい市場環境にあることを物語っています。
不動産情報サービスのアットホームが自社サイトに登録・公開された賃貸物件を調査したところ、2025年度の東京23区のファミリー向けの大型物件(専有面積70㎡超)では定期借家の平均募集家賃が2024年度比7.0%高の46万4387円となり、普通借家の34万5986円に比べ34.2%高くなりました。伸び率も普通借家の4.7%高を上回る結果だそうです。
東京23区の平均家賃を比べると定期借家のほうが高い水準にあるのはなぜなのでしょうか?家賃動向を分駅近や築浅など入居者が確保しやすい好条件の物件で定期借家の導入が進み、平均が押し上げられていることも要因の一つかもしれません。家賃の伸びのほか、そもそも定期借家の物件自体も増えています。2025年度の東京23区のファミリー向けの大型物件のうち定期借家の割合は24年度比4.4ポイント高の34.9%でした。特に都心の高級物件で多く、千代田区が前年度比20.5ポイント高の71.3%、港区が8.3ポイント高の57.3%、渋谷区が8.6ポイント高の43.5%と大きく上昇しています。
貸し手が積極的に導入しているのは、契約の切れ目で家賃を引き上げやすく、物価高のなかでの修繕費や人件費といった管理コストの負担増加分を反映しやすいためです。住宅相場の高騰を受けて当面のマンション購入を断念した消費者が賃貸市場に流れることで賃貸物件の需給が締まり、貸し手が賃料に強気な環境にあることも大きいです。
法規的な部分でいうと、貸して側からすると借地借家法の保護によって普通借家で入居中の世帯の賃料を引き上げるのは容易ではありません。貸し手としては一定期間で退去してもらったほうがありがたいのが本音で、昨今の金利上昇や維持費の上昇を背景に、家賃もインフレ傾向のこのタイミングでは賃料設定を改定したいオーナーは多いはずです。
定期借家契約は貸し手にとっては普通借家におけるリスクを回避する手段でもあるわけです。家賃の滞納や騒音などトラブルの多い入居者でも普通借家だと退去してもらいにくいのが現実問題です。一方、借り手側も定期借家契約が増えているという市場環境をある程度受け入れているようにも感じます。いい物件が見つかりにくいなかで、定期借家を許容する借り手もでてきています。短期の住まいとして柔軟に活用しようという機運も高まっているもようで、子どもの進学にあわせて通学期間だけ学校に通いやすいところで借りたり、住宅購入を検討するエリアで試験的に居住したりするケースが目立ってきており、借り手側もフレキシブルに順応出来ているのが面白い傾向と言えます。こうなると、長期居住を検討している借り手は普通借家を選択するというのも選択肢として逆算出来ます。今後も東京23区では定期借家が増えていくとの見方が多く、定期借家の増加によって家賃相場はさらに押し上げられる可能性も出てきています。
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