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老朽化マンション建て替えに光明

開発

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、老朽化マンションの建て替えについて国土交通省が発表した新たな政策の話題についてご紹介したいと思います!

昨今、新築マンションの開発は難しい局面に入っています。それは、「用地取得」です。人気のある都心において言えばほぼ皆無です。では、どの様にして今後は新築マンションを建設していくのか?今、既存の建物を取り壊し再建築する建て替えに注目が集まります。

国土交通省はマンションを建て替える際に、隣接する民家や駐車場などに用地を広げて建物を大きくできる取り組みを後押しすると発表しました。政府はこれまでマンション建て替え円滑化法を改正して敷地を一括して不動産会社などに売却しやすくしたり、マンション管理適正化法を改正して2022年からは修繕計画の策定や修繕積立金の管理計画を地方自治体が認定できる仕組みを導入しており、建て替えを後押ししてきました。そして、今回更なる一手として隣接地の所有者に建て替え後のマンションの区分所有権を付与できるよう法改正する考えを打ち出しました。人口減に直面するなか、新規開発に頼る手法ではなく、既存の都市機能を刷新する住宅政策を進める考えです。これは、画期的な取り組みでマンションは建て替えの際に、区分所有権をもつ既存の住人で組合をつくり、現行法では外部の住民に区分所有権を付与することができない仕組みだったからです。隣接地を取り込んで用地を広げる場合でも、隣接住民らには取得価格に相当する補償金を支払うことしかできない仕組みでした。なので、補償金が入っても、新たな住まいを探さなければならないケースがあり、同意を得にくいといった問題がありせっかくの拡張開発も難航するケースは多いです。「マンション建て替え円滑化法」を改正し、隣接地の所有者の協力を得やすい環境整備につなげることで今後更なる再開発の光明となる可能性があります。

近年は築年数が重なった建物が増えたほか、シニア層の住民が多いというマンションの「高齢化」が課題となっています。高層の共同住宅であるマンションには日本の国民の1割超が居住していると推計され、第2次世界大戦後の1950〜70年代の高度成長期以降に各地で建設が相次ぎ、建物の老朽化とシニア層の居住が増えているという「2つの老い」に直面しています。

国土交通省によると、築40年以上のマンションは2023年末に137万戸と、10年前比3倍に増えています。このままいくと計算上では、2033年末には274万戸、2043年末には464万戸になると見込まれます。築10年以上20年未満のマンションでは世帯主が70歳以上の住戸の割合は15%にとどまっていた一方、築30年以上40年未満では35%、築40年以上では55%をしめます。年金で暮らす世帯では新たな負担が発生する建て替えに消極的な場合も多く、建物の修繕や建て替えの決定に必要な賛成者が集まらない問題も出てきます。老朽化が進めば管理が行き届かない建物も増える。それどころか、建て替えを進めようとしても資材価格や人件費の高騰などで費用負担が増大し、住民間での合意形成が難しくなっています。

その他、建て替えにおいて問題なのは容積率の上限いっぱいまで使って建てたマンションが増加していることも、調整が難航する要因となっています。隣接地を活用して建物を大きくし、部屋数を増やせれば、売却収入によって建て替えコストを抑えることができます。国交省は2025年の通常国会に関連法案を提出する方針で意向を固めています。

戦後の高度成長期を中心に、政府は郊外の集合住宅の建設を後押しして人口増の需要に応えてきた経緯があります。私自身前職のデベロッパー時代にも郊外所在の有名な大規模団地の再開発事業を目の当たりにしてきましたが、計画から建築に着手するまでにとてつもない労力と時間がかかっていたのを覚えています。人口減少時代に入り、公共交通や病院が整う都市部のマンションの新陳代謝を重視する政策に改めていくことで今後都心の住宅供給にも変化が現れそうです。さらに、耐震強度の引き上げは、自然災害時の安全性向上にもつながるので都心での天災対策にもなります。

2023年末時点でマンションは国内におよそ700万戸分が立地しています。その内、耐用年数を迎えるなどして建て替えを完了できたのは、2024年4月までに2万4千戸程度と少数に留まります。

さらに注目すべき今回の法改正では、借地権が設定されたマンションを建て替える場合に、土地の持ち主の所有権を建て替え後の区分所有権に変えられる制度も盛り込むとのことでこちらも長年悩ましかった問題解決に向けて大きく前進しそうです。

国交省によると、マンション建て替え時の1世帯あたりの負担額は2000年代に900万円程度だったそうです。しかし、2020年代にはおよそ2000万円に膨らんでおり、資材高や建設人材の不足などで費用負担は今後も増加が見込まれます。その他、既存マンションの建て替えでは既存住民同士の合意問題もあります。そうした問題においても法務省が、住民間での合意形成を後押しする区分所有法の改正を検討しています。現在は建て替えの決議に全区分所有者の5分の4以上の賛成が必要で、ハードルが高いのも解消すべきポイントとなっています。

まだまだ、解決すべき問題は山積みですが今回の法改正が国会で通れば大きく前進することは間違いありません。所得税の壁問題解決もそうですが、物価が高騰する昨今だからこそ法改正で物事が円滑に進むよう、軌道修正することを政府には期待したいと思います。

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