
未だ根強い都心部のマンション需要とは⁉︎
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先日の日経新聞の一面に総務省の労働力調査の詳細集計によると、夫婦ともに年収が700万円以上なのは45万世帯、このうち各1000万円以上も11万世帯と、いずれも10年前から倍増したという記事が掲載されていました。昨今のスタンダードになりつつある「パーワーカップル」ですが、経済のインフレが共働きにならざるを得ない状況を引き起こしているのかもしれません。

その証拠にパワーカップルが思いのほか、消費のけん引役にならない理由は明らです。保険料や税負担が大きすぎて、手取り収入は意外に苦しいのでが現状で、インフレなのに累進税率が変わらないので、この層にとっては結果的に過酷な増税になってしまっています。社会保険料増も追い打ちをかけます。厚生年金保険料の負担上限(標準報酬の上限額)の引き上げなどの負担増も、ちょうどこのあたりの所得層がターゲットになっています。政府が配る手当や給付金も所得制限では到底届かないです。パワーカップルから需要のある都市部では、マンション価格なども高騰しており、購入を断念し賃貸に切り替え手厚い社内補助と言う選択肢も重視されてきています。
そんな中、東京23区内では供給体制を整え始めています。オーナーの高齢化や修繕コストの高騰を背景に、不動産デベロッパーが中小ビルを中心に買い取って需要が旺盛なマンションへ建て替えるケースが目立ってきています。老朽化に伴う低稼働のオフィスが淘汰され、中小オフィスビルが減少してきています。驚きなのがこの10年間に床面積ベースで東京ドーム25個分が消失する見通しだそうです。昨今の建設費高騰も相まってビルオーナーも建て替えしても収益性が合わないため、売却へと切り替える考えが増えてきているのもあります。
所有のビルが駅から徒歩圏という好立地にある場合は、マンションへの需要の方が高く買い取ったデベロッパーもマンションへシフトするビジネスモデルが目立ちます。土地価格分の建物の所有権を得られ双方にメリットがある「等価交換方式」のスキームもとっており、オーナーが完成後に一部を事務所や住宅として使うやり方も主流です。
都内ではこうした事例が目立つようになっています。ザイマックス総研の調べでは、東京23区内の中小ビル(延べ床面積が990〜1万6500㎡)が2025年末に約8700棟と10年前より400棟以上減ると推計したデータもでています。床面積ベースでは計約118万㎡に上り、日本一の高層ビル「麻布台ヒルズ 森JPタワー」(同)の2.5棟分、東京ドームの敷地面積25個分に相当します。中小ビルが減った結果、1981年以前の旧耐震ビルの比率は2025年に23.2%と10年前より6.4ポイント低下しています。転換が進む背景にあるのが、中小ビルの競争力低下とマンション用地の不足が大きな要因になっています。
都内で大規模な再開発が進んだ結果、足元で高層のオフィスビルの竣工が増加しました。森ビルの調査によると、東京23区で2029年までに供給される新規オフィスビル(延べ床面積1万㎡以上)のうち、延べ床面積が10万㎡以上の大規模ビルが7〜9割を占める見通しだそうです。2029年には91%と過去最大の割合を見込んでいます。
一方で、冒頭にご紹介したように共働きで世帯年収が高い「パワーカップル」を中心に都心のマンション需要は根強いです。不動産経済研究所によると、2025年1〜6月の首都圏新築マンションの供給戸数は前年同期比11%減と同期間としては4年連続のマイナスとなっています。それでも東京23区の平均価格は1億円超えと過去最高で推移しており、新規建設用地不足を建て替えで賄おうとする動きが強いです。
販売価格が高騰しているマンションは、土地の取得コストが大きくても事業が成立しやすいのもあります。各社とも開発用地の取得に熱を入れており、マンションが競争力のない中小オフィスビルにとって代わった形になってきています。もともとオフィス立地は交通の利便性が高く、住宅の開発にも適しています。まさに住宅の需要の強さがオフィスを上回り、住宅が最も有効な開発用途となるエリアが広がっています。
しかし、中小ビルの建て替えが加速すれば、都心の人口集中に拍車がかかる懸念もあります。東京23区にある建物の延べ床面積比率は、マンションなどの集合住宅が2021年に38.9%と2011年比で2.4ポイント上昇しています。総務省によると、23区の転入超過数は2022〜2024年の3年で約13万4000人とコロナ禍前の水準に迫る勢いになっています。
近年は桜蔭や女子学院といった都心の進学校が教育環境への懸念などから隣地でのタワマン開発に反対する事例もあります。その他、海外投資家による投資目的の購入増加にも懸念が残ります。開発物件ごとの経済合理性だけでなく、エリア全体の将来像や公共性を考慮した街づくりを進めていく姿勢が求められてきています。
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