
企業不動産の新たな考え方
皆様、弊社SANSHIN picksをいつもご覧いただき誠に有難う御座います!
本日は、日本国内でまだまだテコ入れ価値の高い企業不動産についての話題をご紹介したいと思います。以前より、当SANSHIN picks内でも多く取り上げてきたこの「企業不動産」についての話題ですが、外資系株主からの提言に端を発したこのテコ入れは今後の新たな会計基準となるかもしれません。

最初にご紹介する企業不動産は我々には特に関心の高い「日産自動車」です。各大手企業による不動産の売却熱が高まっているなか、日産自動車は売却後に借り直す「セール・アンド・リースバック」を活用して横浜市の本社ビルを売る方向で検討し、米投資ファンドKKRが有力な買い手候補に浮上し話題になっています。好調な不動産市況も相まって、眠っていた資産を現金化して手元資金を調達する動きが広がりを見せています。
セール・アンド・リースバックとは、企業が保有する資産を売った後も買い手と賃貸借契約を結んで使い続ける取引のことで、昨今では同様のスキームで自宅にも活用したリースバック契約や自宅を担保に融資を受け死亡後に自宅を売却して完済するリバースモーゲージなども注目されています。売る側にとっては売却後に賃料が発生するものの、いずれも手元資金を得られるほか、管理費や固定資産税がなくなる利点があります。
こうした取引は意外に歴史は長く米国で始まり、日本国内では2000年代から広がりをみせています。2010年代には商業施設やホテルといった様々な資産を保有する企業が、定期的に売却するための受け皿として、上場不動産投資信託(REIT)を立ち上げるようになったのも不動産業界にとっては新たな試みでした。リーマン・ショック後は企業業績が回復したことで一旦は落ち着きを見せましたが、新型コロナウイルス禍で再び増加し、M&A(合併・買収)や設備投資に必要な原資を確保すると同時に、本社や工場など継続して利用することを目的に資産を手放すケースが相次いでいました。
今回明らかになった日産自動車の場合は、経営再建の一環で横浜市にあるグローバル本社の売却へ向けた入札を実施したことが始まりでした。売却規模は1000億円弱になる見込みで、KKR系の企業が最高額で応札したとみられ、年内にも売却手続きを完了する方向で協議が進んでいるもようです。売買が成立しても、日産社員は同じ本社で業務を続けられるという利点もあります。
その他の企業でもそうした動きが活活化しており、ヤマトホールディングスと傘下のヤマト運輸も今年の3月、東京・銀座の本社ビルを明治安田生命保険に譲渡し、20年間の賃貸借契約を結び話題になりました。売却で得た資金はM&Aなどの成長投資や株主還元に充て今までには無い企業体質の変革を迎えています。
面白いのはこの動きが、財務体質の改善や成長資金の確保だけにとどまらないことですです。保有ビルを賃貸に変えたことで機動性が上がり、新築ビルに移転する動きも出てきています。
大手医薬品メーカーの第一三共は2019年に東京・日本橋のビルを売却して賃貸に切り替えました。現在の本社ビルから、三井不動産や野村不動産が手掛ける再開発地区「日本橋一丁目中地区」に完成する高層ビルへ2027年秋に移転する動きがあります。現在の本社ビルは2つの建物に分かれてしまったことで社員の往来がしづらかいという社員からの声もあり、新本社は4フロアを内階段で一体化することで、コミュニケーションをとりやすい職場環境の改善につながりそうです。
ここ数年で活発化してきたアクティビストからの指摘提言は昨今の不動産価値上昇の追い風もあり、各大手企業にとって重い腰だった財務改革に大きな変革をもたらしています。実際、大きな含み益へと変わる面積の大きな大規模企業不動産は多く古くなったビルはこれを機に新たな資産価値へと生まれ変わるきっかけにもなりそうです。東京商工リサーチによると、件数ベースでは2024年度に国内の不動産を売却した上場企業は、開示ベースで85社と2023年度の97社から減っているそうです。一方、売却した土地(70社)の総面積は約157万㎡と6割も増えています。これは、10万㎡を超える大型取引が増えたためです。金利上昇などを背景に、大手を中心に設備投資を早める動きも一部でみられるため、今後は一進一退を繰り返しながら不動産売却の件数も増加に転じる可能性がありそうです。
一方、財務戦略の観点ではセール・アンド・リースバックの取引には見直しが進む可能性があるとも言われています。
2027年度からは日本の会計基準にリース取引に関する新たな基準が適用されるためです。原則、全てのリース取引を貸借対照表(BS)に計上しなければならなくなります。これまでのように、不動産をBSから切り離したことで実現していた資産を圧縮する効果が薄くなってしまいます。しかし、資金調達や不動産リスクの切り離しなどの利点は残るので企業が何を目的にするかで選択が分かれてくることになりそうです。
今までの企業では、本社ビルを所有することに企業の信頼を得て好調な業績を誇示していた企業体質から今後どのような財務マネージメントへと変わっていくのでしょうか。まだまだ、各地に眠る「企業不動産の虎の子」の有効活用に期待が寄せられます。
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