
株主が注目する企業不動産価値とは⁉︎
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本日は、事業用不動産の話題をご紹介したいと思います!昨今の不動産価格上昇を受け各企業が所有する事業用不動産の時価も上がってきていることから含み益が20兆円規模にまで膨れ上がってきています。

以前より、当SANSHIN picksでは各企業が長い歴史で保有する「企業不動産」に注目して参りました。都心の一等地や大規模な面積の土地を開放することで市場活性化につながると考えているからです。そして、インフレ下の現在、上場企業のオフィスや物流施設の時価が徐々に膨らんできています。みずほ信託銀行がこのほど独自の不動産データなどを基に推計し発表しました。アクティビストが価値に注目し、売却して資産効率を上げるよう求め始めたことがきっかけとなっています。余剰資産と異なり、本社などのオフィスや物流施設、工場は本業の継続に欠かせないものです。こうした事業用不動産の時価を表す開示資料はなく、含み益の規模は今まで不明でした。貸借対照表に記載する事業用不動産の簿価は上場企業全体で119兆円あると言われており、含み益を合算した時価は139兆円規模になります。
余剰資産にあたる賃貸用不動産は有価証券報告書で時価を開示しています。2025年度の時価は71兆円で、うち30兆円が含み益でした。賃貸用不動産の含み益は5年前と比べて25%増えており、同様に事業用不動産の含み益も増加基調にあるとみられます。背景にあるのがインフレ経済への転換です。物価上昇の波は不動産に及び、2026年1月1日時点の公示地価は全用途の全国平均が前年比で2.8%上昇し、5年連続でプラスとなっています。
そして、こうした不動産の含み益に注目するのがアクティビストです。企業が売却すれば株主還元の原資になり、成長投資の資金源にもなるのでメスが入り始めました。不動産から得る収益は投資家が求める期待値を下回るケースが多く、不動産を切り離せば資本効率が上がると常々アクティビストは主張しています。これまでアクティビストが売却を求めてきたのは本業と関わりのない不動産でした。価格上昇で物流施設などの含み益も無視できなくなり、売却して賃借への切り替えなどを迫るようになってきています。
総合物流のニッコンホールディングスは2025年12月、事業用不動産の保有方針を見直し話題になりました。物流施設など243物件の時価評価額を1300億円と算出し、それぞれの物件の資本効率が加重平均資本コストを下回る場合は整理を検討する方針を示しました。やはりこうした背景にもアクティビストの動きがあり、3月時点でニッコンHD株を23%保有する米ファラロン・キャピタル・マネジメントなど株主から低採算の不動産について売却の圧力があったとみられています。
その他、医薬品卸の東邦ホールディングスは保有不動産の流動化も選択肢とする方針を2024年に公表しました。シンガポールの3Dインベストメント・パートナーズは投資利回りが資本コストを下回る3つの物流施設を売却し、賃貸借契約を結び直す「セール・アンド・リースバック」で資本効率を改善するよう求めていました。企業にとって本業で使う事業用不動産を手放すことの抵抗感は大きく、不動産の希少性が高い場合、一度売ったら買い戻せないリスクはあるので企業側も判断に慎重になっています。当然、売却後に賃借する場合は賃料を払い続けることになるのでランニングコストを考えると、売却が最善の選択なのか議論されているようです。
そもそも事業継続を前提に不動産を保有する企業と、比較的短い期間で投資を完了することもあるアクティビストの時間軸の違いを指摘する声もあります。みずほ信託銀行が2025年に実施した調査によると、自社の不動産の時価評価額を把握していると回答した企業は4割にとどまったそうです。今後アクティビストと向き合っていくには、企業が適切に自社の不動産価値を認識した上で最善の活用策を模索し続ける必要がありそうです。
まだまだ、余力を秘めている国内の不動産も保有している企業にとってはいざと言う時の資金源にもなるため高配当を求める株主還元との意見相違に今後も注目が集まりそうです。
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